【保存版】神社と寺院の違い完全ガイド|祀られている存在・建物・参拝方法の違い

旅行や散策の途中で、立派な門や静かな森に囲まれた建物に出会うことがあります。

「せっかくだからお参りしていこう」と思ったとき、ふとこんな疑問が頭をよぎったことはありませんか?

「ここは神社なのかな? それともお寺?」 

「お辞儀をして手を叩けばいいんだっけ? それとも静かに手を合わせるだけ?」

なんとなく雰囲気で選んでいるけれど、実はその違いをはっきり説明するのは難しいものです。

周りの人に合わせて参拝してみるものの、心の中では「失礼になっていないかな」と少しソワソワしてしまう……。

そんな経験を持つ方は少なくありません。

 

実は、神社とお寺の違いを知ることは、単なるマナーの習得ではありません。

それは、日本人が長い歴史の中で、目に見えない力や自然、そして先祖をどのように大切にしてきたかという「心」に触れることでもあります。

この記事では、神社とお寺の基本的な違いから、なぜ現代の日本にこの二つが共存しているのかという背景まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。

この記事のポイント5選

祀られているものの違い: 神様は「八百万(やおよろず)」、仏様は「悟りを開いた存在」。
見た目の違い: 「鳥居(とりい)」があれば神社、「山門(さんもん)」があればお寺。
参拝作法の違い: 「拍手(かしわで)」を打つのは神社、静かに「合掌(がっしょう)」するのはお寺。
関係者の違い: 神社には「神主(かんぬし)さん」、お寺には「お坊さん」。
日本独自の考え方: 神様と仏様を一緒に大切にしてきた「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」という歴史。

根本的な違いは「誰がいるか」

神社と寺院

神社とお寺の最も大きな違いは、そこに「どなたがいらっしゃるか」という点にあります。これが分かると、建物や作法の違いも自然と理解しやすくなります。

神社は「日本古来の神様」の住まい

神社には、日本に古くから伝わる「神道(しんとう)」の神様が祀られています。

神道とは、特定の開祖(教えを始めた人)や聖典(キリスト教の聖書のようなもの)を持たない、日本固有の信仰です。

古代の日本人は、自然界のあらゆるものに神様が宿っていると考えました。

 

・山、海、川、森などの自然そのもの

・雷や風などの自然現象

・地域を守る氏神様(うじがみさま)

・歴史上の人物や、優れた業績を残した先祖

 

このように、多種多様な神様がいることから「八百万(やおよろず)の神」と呼ばれています。

神社は、こうした神様たちが普段いらっしゃる場所であり、人間が神様をお招きして対話をするための「聖域」なのです。

お寺は「仏教の仏様」を祀る場所

一方、お寺はインドで始まった「仏教(ぶっきょう)」に基づく場所です。お寺に祀られているのは、釈迦(しゃか)をはじめとする「仏様」です。

仏教には「悟りを開いて苦しみから解放される」という教えがあり、お寺はその教えを学び、実践する修行の場でもあります。

・如来(にょらい): 悟りを開いた完成された存在

・菩薩(ぼさつ): 悟りを求めながら、人々を救おうとする存在

・明王(みょうおう): 厳しい表情で人々を正しい道へ導く存在

また、お寺は亡くなった方のご供養や、お墓を守る場所としての役割も持っています。

外見で見分ける「建物のサイン」

神社と寺院

実際に現地を訪れた際、建物の特徴を見るだけで「あ、ここは神社だ」と判断できるポイントがいくつかあります。

 

神社のシンボルは「鳥居」

神社の入り口には必ずといっていいほど「鳥居(とりい)」があります。

鳥居は、私たちが暮らす日常の世界と、神様がいらっしゃる聖なる世界を分ける「境界線」の役割を果たしています。

また、神社には「狛犬(こまいぬ)」がいることが多いのも特徴です。左右一対で座り、悪いものが神域に入らないよう守っています。

お寺のシンボルは「山門」と「仏像」

お寺の入り口にある大きな門は「山門(さんもん)」と呼ばれます。

神社と違い、門の中には「仁王像(におうぞう)」などの力強い像が立っていることがよくあります。

また、お寺の境内には「お墓」や「五重塔(ごじゅうとう)」、「鐘楼(しょうろう:鐘を突く場所)」が見られることが多いのも特徴です。

そして最も決定的なのは、本堂の中に「仏像」が安置されていることです。

参拝作法:なぜ神社は手を叩くの?

神社と寺院

神社とお寺では、お参りの仕方が異なります。

これを混同してしまうと、少し気恥ずかしい思いをすることもありますので、基本を押さえておきましょう。

神社では「二礼二拍手一礼」

神社の参拝は、神様を「お招きし、喜び、見送る」という流れを重視します。

二礼: 神様に対して深く二回お辞儀をします。

二拍手: 両手を合わせ、右手を少し下にずらしてパンパンと二回手を叩きます。

これは「私は武器を持っていません、素手で参りました」という誠実さを示したり、神様を呼び出したり、あるいは喜びを表現したりするためとされています。

祈念: 手を合わせたまま感謝や願いを伝えます。

一礼: 最後にもう一度深くお辞儀をします。

 

お寺では「静かに合掌」

お寺では、基本的に手を叩きません。

仏様の前では静かに心を通わせるのが一般的です。

一礼: 本尊の前で軽くお辞儀をします。

合掌: 胸の前で両手をぴたりと合わせます。

右手が仏様、左手が自分(衆生)を表し、合わせることで「仏様と自分が一つになる」という意味があるとされています。

祈念: 静かに目を閉じ、感謝や決意を伝えます。

一礼: 最後に再び軽くお辞儀をします。

豆知識:お線香とロウソク お寺ではお線香やロウソクを供えることがありますが、これは「自らを清める」「仏様の知恵の光をいただく」といった意味があると言われています。神社ではあまり見かけない光景ですね。

なぜ日本には両方あるの?

神社と寺院

「神社とお寺、どちらに行ってもいいの?」と不思議に思うかもしれません。

実は、日本には「神様も仏様も、どちらも大切」という独特な歴史があります。

 

「神仏習合」という不思議な共生

かつて日本では、神道と仏教を分けて考えるのではなく、融合させて捉えていました。

これを「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」と呼びます。

例えば、「日本の神様は、実は仏様が姿を変えて現れたものだ」という考え方(権現思想:ごんげんしそう)が広まりました。

そのため、江戸時代までは神社の中にお寺があったり、お寺の中に神社があったりするのが当たり前だったのです。

明治時代の「神仏分離」

しかし、明治時代になると政府の政策により、神社とお寺をはっきりと分ける「神仏分離(しんぶつぶんり)」が行われました。

これにより、建物や神職・僧侶の役割が明確に区別されるようになりました。

現代の私たちが、初詣は神社、お葬式はお寺……と使い分けているのも、この長い共生と区別の歴史の名残だと言えるでしょう。

どちらが正しいかではなく、どちらも大切にしてきたのが日本人の知恵なのかもしれません。

参拝がもっと楽しくなる視点

神社と寺院

次に神社やお寺を訪れるときは、ぜひこんなポイントに注目してみてください。

 

名前をチェック

 「〜神社」「〜大社」「〜宮」は神社。「〜寺」「〜院」「〜庵」はお寺です。

お守りや御朱印のデザイン

神社は明るい色使いが多く、お寺は少し落ち着いた、あるいは力強い墨跡が特徴的だったりします。

境内の雰囲気

神社は清々しく、自然のパワーを感じる場所。お寺は静謐(せいひつ)で、自分自身を見つめ直すような場所。

そんな違いを肌で感じてみてください。

「神社だからこうしなきゃ」と緊張しすぎる必要はありません。

大切なのは、その場所が持つ長い歴史や、そこを大切に守ってきた人々の思いに敬意を払うことです。

知識は、景色を鮮やかにするスパイス

神社と寺院

神社とお寺の違いを知ることは、単なるルールを覚えることではありません。

それまで素通りしていた鳥居の形や、静かなお堂の空気が、少しだけ違って見えてくる。

そんな「気づき」の体験です。

「意味」を知ると、ただの観光地が、自分にとって意味のある「祈りの場」や「癒やしの場」に変わります。

次にあなたがどこかへ出かけたとき、ふと見かけたお社やお堂に足を運んでみてください。

そこにあるのが神社であれ、お寺であれ、あなたが静かに手を合わせたその瞬間、日常の忙しさから少しだけ解き放たれる豊かな時間が流れるはずです。