
阿蘇の深い森に抱かれ、滝の音に包まれながら過ごす一夜。
熊本・南小国町の黒川温泉郷近くに佇む「お宿花風月」は、全室離れの大人限定宿です。
滞在中は一貫して“静寂”と“癒し”に包まれ、日常の喧騒を忘れる時間が流れていました。
Contents
お宿花風月とは?

熊本県阿蘇郡南小国町にある「お宿花風月」は、黒川温泉から車で約5分ほど。
豊かな自然に囲まれ、四季折々の花々が出迎えてくれます。
到着するとまず目に飛び込んでくるのは、紫陽花に彩られた石畳のアプローチ。
梅雨の頃にはしっとりと濡れた花々が木々の緑を引き立て、訪れる人の心を穏やかにしてくれます。
館内は全て離れ造りで、客室ごとに専用露天風呂を備えています。
誰にも邪魔されない、自分だけの時間を味わえる宿です。
アプローチ:日常と非日常を分ける瞬間

玄関をくぐると、畳と木の香りがふわりと漂います。
チェックイン時は、ウェルカムデザートを提供いただけます。
また囲炉裏と大きなくまモンぬいぐるみがあり、記念撮影をしていただきました。

柔らかな照明の奥には、丸窓から光が差し込み、紫の和傘と生け花が静かに飾られていました。
まるで“時がゆるやかにほどける”ような空気。
チェックインの際もスタッフの声は落ち着いていて、こちらまで自然と呼吸が深くなっていくのを感じました。
通路に宿る“静かな非日常”――歩くたびに心が整う瞬間

客室へと続く通路には、どこを切り取っても絵になる静けさが漂っています。
竹のしずくが落ちる音、水面の揺らぎ、そして優しく微笑むお地蔵さま。
それらが言葉以上に「ようこそ」と語りかけてくれるようでした。
館内を歩くだけで、まるで時間の流れがゆっくりとほどけていくよう。
照明の明るさも絶妙で、昼と夜でまったく違う表情を見せてくれます。
日常の慌ただしさを忘れ、歩く一歩一歩が“心を整える時間”へと変わっていく――
そんな「通るたびに癒される宿」が、この花風月の真の魅力なのだと感じました。
客室レビュー:離れで味わう、自然と調和したプライベート空間

宿泊したのは、庭付きの離れ客室。
障子越しに差し込む朝の光、庭に敷かれた苔の緑、岩に滴る水の音。
外の景色すべてが“癒しの一部”として計算されているようでした。

客室内の露天風呂は岩造りで、湯面に木漏れ日がゆらめきます。
湯に身を沈めると、木の香りと温泉のやわらかな硫黄の香りが混じり、まるで森と一体になるような感覚。
湯上がり後は肌がしっとりと整い、阿蘇の天然温泉の力を実感しました。
露天風呂レビュー:滝の音に包まれる幻想的な夜湯

各個室から離れて少し歩くと「滝見露天風呂」があります。
灯りに照らされた滝が闇の中で白く輝き、静かに流れ落ちる音が心をほぐしてくれます。
湯に浸かると、耳に届くのは滝と虫の声だけ。
都会では決して味わえない、自然の“無音の音”が身体に染み渡ります。

温泉は源泉かけ流し。ぬるめの湯で、長湯しても身体が芯から温まります。
夜風を感じながら、ただ黙って滝を眺める時間――まさに“何もしない贅沢”の極みでした。
食事レビュー:地元食材とおもてなしの朝食

朝食は、木の温もりを感じる個室食事処でいただきます。
山菜や豆腐料理、地鶏の陶板焼きなど、一品一品が丁寧に盛り付けられており、
“素材の味を活かす”という宿の哲学が伝わってきました。

箸袋にはスタッフからの手書きメッセージ。
「おはようございます。今日も一日良い日でありますように。」
そんな一言に、心がほっと温まります。
デザートの自家製ヨーグルトと果物も爽やかで、朝の光とともに一日をやさしく始めることができました。
スタッフ・おもてなしレビュー

スタッフの方々は必要以上に距離を詰めず、程よい気遣いが心地よい印象でした。
荷物を運ぶ際や館内案内も穏やかな口調で、言葉の端々から“宿を愛する気持ち”が伝わってきます。
チェックアウト時には、庭先まで見送りをしてくださり、最後まで余韻を残すおもてなしでした。
アクセス・施設情報
住所:熊本県阿蘇郡南小国町満願寺2805-3
アクセス:黒川温泉街から車で約5分
熊本市内から約2時間/福岡市内から約2時間30分
駐車場:あり(無料)
送迎:要事前予約
まとめ:喧騒を忘れて“何もしない贅沢”を味わう宿
お宿花風月は、派手な演出こそないものの、
静けさと自然、そして人の温かさが心に残る宿でした。
滝の音と湯のぬくもり、朝の光に包まれた庭――。
すべてが“癒し”という言葉の本質を教えてくれる場所。
忙しい日常から離れ、ただ静かに自分を取り戻す時間を過ごしたい方に、心からおすすめしたい宿です。








